診療情報提供料

診療情報提供料とは

診療情報提供料とは、医療機関が他の医療機関宛に手紙を書いた際に算定できる管理料です。診療情報提供料には、書かれる内容によっていくつかの算定方法がありますので、ここではその算定方法について解説していきます。

B009 診療情報提供料(Ⅰ) 250点

よく算定されるのが診療情報提供料(Ⅰ)です。

医療機関が患者について、他の医療機関に対して診療情報を手紙で書き、患者を紹介した場合に算定されます。

よくあるのは、クリニックで診療をした後に大きな病院に行って下さい、と紹介状を書いた場合に算定されています。逆に大きな病院にかかった後に、あとはクリニックで経過を見ましょう、といった場合に手紙を書かれることもあるでしょう。

“紹介先保険医療機関ごとに患者1人につき月1回に限り算定する”と定められていますので、同じ月に同じ医療機関へ紹介状を書いた場合は1回目のみ算定が可能です。

逆に、月を跨いだ場合、または同じ月であっても紹介先医療機関が異なる場合は2回目以降も算定することができます。

また保険医療機関への紹介状ではなく、以下の場合でも算定が可能です。

⚪︎以下の施設

  • 指定居宅介護支援事業者
  • 指定介護予防支援事業者
  • 指定特定相談支援事業者
  • 指定障害児相談支援事業者

に対して診療情報、保険福祉サービスに必要な情報の手紙を書いた場合。

⚪︎通院困難で在宅患者訪問薬剤管理指導が必要な在宅療養患者について、保険薬局に対して診療情報、在宅患者訪問薬剤管理指導に必要な情報の手紙を書いた場合。

⚪︎精神障害者施設に入所もしくは通所している患者、または介護老人保健施設に入所している患者について、入所・通所先施設に対して診療情報、患者の社会復帰の促進に必要な情報の手紙を書いた場合。

⚪︎介護老人保健施設または介護医療院に対して診療情報の手紙を書いて患者を紹介した場合。

⚪︎認知症患者について、認知症に関する専門の保険医療機関等に対して診療情報の手紙を書いて患者を紹介した場合。

⚪︎小児慢性特定疾病医療支援の対象である患者、障害児である患者、またはアナフィラキシーの既往歴のある患者もしくは食物アレルギー患者について、患者が通院または通学する保育所、学校(大学は除く)の学校医等に対して診療情報、学校生活等を送るに当たり必要な情報を手紙で書いた場合。

上記のいずれも、同じ宛先については患者1人につき月一回に限っての算定となります。

診療情報提供料を算定するにあたり、全て同意を得た上で文書での情報提供が必要となります。

また赤い下線を引いてある部分ですが、“患者を紹介した場合”とありますので、この記載があるところに関しては診療情報の提供だけではなく、患者の受診も伴う必要があります。

診療情報と似ているもので、報告書というものがあります。紹介状を持って来た患者を診察した後、〇〇様が受診されこんな治療をしましたよ、といった内容で紹介元へお返事を書くことがあります。この場合、患者は紹介元へ受診しませんので診療情報提供料は算定できません。

ですが、受診したのちに紹介元でまた経過観察や治療をしてもらう場合に逆紹介という形でお手紙を書いた場合は、患者が紹介元へ受診しますので算定ができます。

診療情報提供料(Ⅰ)の加算

診療情報提供料(Ⅰ)には、書かれる内容によっていくつか算定できる加算がありますので解説していきます。

⚪︎退院時診療情報添付加算

患者が退院した月、またはその翌月に他の保険医療機関に対して、退院後の治療計画、検査結果、画像診断に係る画像情報その他の必要な情報を添付して紹介をした場合は、200点を所定点数に加算する。

退院した月、その翌月ということですので、4月中に退院した場合は5月31日まででしたら200点を加算することができますね。

⚪︎ハイリスク妊婦紹介加算

ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)の施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、ハイリスク妊産婦について検査結果、画像診断に係る画像情報その他の必要な情報を添付してハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)に規定する別の保険医療機関に対して紹介を行った場合は 、ハイリスク妊婦紹介加算として、当該患者の妊娠中1回に限り200点を所定点 数に加算する。

こちらはハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)の届出をしている医療機関でのみ算定できます。また、紹介先も届出をしている場合のみの算定となっています。

⚪︎認知症専門医療機関紹介加算

認知症の疑いのある、専門医療機関での鑑別診断等の必要がある患者について、当該専門医療機関に対して、診療情報を手紙で書き、患者を紹介をした場合、認知症専門医療機関紹介加算として、100点を所定点数に加算する。

⚪︎精神科医連携加算

精神科以外の診療科を標榜する保険医療機関が、入院中の患者以外の患者について、精神科を標榜する別の保険医療機関に当該患者が受診する日の予約を行った上で患者の紹介を行った場合は、精神科医連携加算として、200点 を所定点数に加算する。

こちらの加算は精神科以外の医療機関から精神科へ、予約をして紹介した場合となっています。

⚪︎肝炎インターフェロン治療連携加算

インターフェロン治療が必要な肝炎の患者であって入院中の患者以外について、保険医療機関と連携して治療を行う肝疾患に関する専門医療機関に対して、治療計画に基づく診療状況を示す手紙を書いて患者の紹介を行った場合は、肝炎インターフェロン治療連携加算として、50点を所定点数に加算する。

⚪︎歯科医療連携加算1

口腔管理が必要な患者について、歯科診療を行う他の保険医療機関に対して、診療情報の手紙を書いて患者を紹介をした場合は、歯科医療機関連携加算1として、100点を所定点数に加算する。

⚪︎歯科医療連携加算2

周術期等における口腔機能管理が必要な患者について、歯科を標榜する他の保険医療機関に当該患者が受診する日の予約をした上で当該患者の紹介を行った場合は、歯科医療機関連携加算2として100点を所定点数に加算する。

こちらも予約をした上での受診が必要です

⚪︎地域連携診療計画加算

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、患者の退院日の属する月又はその翌月に、連携する保険医療機関において地域連携診療計画加算を算定して当該連携保険医療機関を退院した患者について、当該連携保険医療機関に対して、診療情報地域連携診療計画に基づく療養に係る必要な情報を手紙で提供した場合に、地域連携診療計画加算とし て、50点を所定点数に加算する。

⚪︎療養情報提供加算

患者が入院又は入所する保険医療機関又は介護老人保健施設若しくは介護医療院に対して文書で診療情報を提供する際、当該患者に対して定期的に訪問看護を行っている訪問看護ステーションから得た療養に係る情報を添付して紹介を行った場合は、療養情報提供加算として、 50点を所定点数に加算する。

⚪︎検査・画像情報 提供加算

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、患者の紹介を行う際に、検査結果、画像情報、画像 診断の所見、投薬内容、注射内容、退院時要約等の診療記録のうち主要なものについて、他の保険医療機関に対し、電子的方法により閲覧可能な形式で提供した場合又は電子的に送受される診療情報提供書に添付した場合に、検査・画像情報 提供加算として、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。ただし、イに ついては、退院時診療情報添付加算を算定する場合は算定しない。

イ 退院する患者について、当該患者の退院日の属する月又はその翌月に、必要な情報を提供した場合 200点

ロ 入院中の患者以外の患者について、必要な情報を提供した場合 30点

B010 診療情報提供料(Ⅱ) 500点

診療情報提供料Ⅱとは、治療法の選択等に関して他の医療機関の医師の意見を求める患者について、治療計画、検査結果、画像診断に係る画像情報その他の別の医療機関に必要な情報を添付し、診療情報を手紙で書いて、患者が他の医療機関の医師の助言を得るための支援を行なった場合に算定できます。

つまり、患者がセカンドオピニオンを希望した際に書かれる紹介状がこれにあたります。

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